多胎妊娠では赤ちゃんがNICUに入院する確率が高いため、検診などでNICUについて説明をされた方も多いのではないでしょうか。
けれど説明を聞いて、
- 実際はどんな治療をするの?
- どれくらいで退院できるの?
- 早産で産まれた時のリスクって?
と、色々不安になった人もいると思います。
もちろん入院期間や治療などは赤ちゃんによって様々ですが、我が家の双子の娘たちは34週で産まれ、1か月~1か月半ほどNICUへ入院しました。
赤ちゃんのための集中治療室なんて聞くと、不安も大きくなる人が多いと思います。
実際、私も妊娠中に双子向けの本などを読んで「うちも入院することになるのかなぁ」など、小さく産まれた時のことを想像して不安になることもありました。
そこで「これから双子を出産予定の方」「NICUに赤ちゃんが入院することになった方」にとって、何か参考になればと「小さく産まれた双子の娘たちが退院するまでの経過」についてご紹介したいと思います。
- 34週で産まれてNICUを退院するまでの経過を知りたい
- NICUがどんなところか知りたい

担当医から言われていた「34週」の壁

まず初めに、妊娠中のことを少しお話します。
実は、検診のたびに娘たちは「週数の割に小さめ」とずっと言われていました。
結果から言うと、娘たちの場合は「胎盤とへその緒が一部癒着していた」のが小さかった原因です。
特に、姉のほうはなかなか栄養が届きにくい状態だったようです。
しかし、出産するまではその原因がわかりませんでした。
もちろん、娘たちが小さいことは私も気になっていましたが、先生からは「少しずつだけど大きくなってるし心音も異常はないから」と言われていたので、出産までただ様子見するしかなかったのです。
そんな中、先生はいつも「小さくても最低34週までお腹にいることが大事」と言っていました。
その理由は
「肺の機能が34週あたりで出来上がるから、それ以降のほうが産まれた後の呼吸が安定しやすい」
との事。
そして、実際にピッタリ34週を過ぎて産まれた娘たちは、NICUに入院はしたものの無事退院することが出来ました。
それを考えると「ギリギリでも”34週の壁”を超えていた」ことは、やはり大きかったのではないかと思います。
なぜなら、娘たちは体は小さかったけれど産まれてから今まで大きな問題はなく成長してくれたからです。
とはいえ、もちろん出産のリスクは色々あり、私の話は一例でしかありません。
たとえば「正期産で産まれたけれど出生体重が少ない」「出生体重は問題ないけれど早産だった」などだけでも違いがありますよね。
そのため、週数や大きさにこだわらず赤ちゃんが産まれるまでに心配なことがある時は、経過に合わせて色々と聞き「なるべく不安な気持ちを減らしておく」ことをおすすめします。
ちなみに、癒着していたのが発覚した出産時のことについてはこちらにも書いています。
入院計画表

NICUへの入院が決定した時の計画表には以下の表のことが書かれていました。
ちなみに、すでに二人とも産まれた直後から保育器に入っていて、産後すぐはパパが説明を受けました。
そして、私が説明を受けたのは自分の体調が落ち着いてからです。
姉 | 妹 |
---|---|
極低出生体重児 子宮内発育不全 一過性多呼吸 低血糖 早産児 | 低出生体重児 一過性多呼吸 低血糖 早産児 |
また、経過観察のため上の表には書きませんでしたが、姉のほうは「くる病」「貧血」などにも注意していくと書かれていました(くる病とは簡単に言うとビタミンD不足などが原因で起こる骨格に関わる病気です)。
そして、目の血管がまだ正常な状態まで伸び切っていなかったため、そちらの治療も合わせて行うと説明がありました。
その時は「血管が伸びてないって大丈夫なの?」と不安になりましたが、どうやら早産児や小さく産まれた子には珍しくないことのようです。
そして、娘の場合はその症状もおそらく軽度でした。
このようなことも「小さくても週数が大事」というのが大切だと言われていたことの一つなのではないかと思います。
その後、生後一週間のうちに二人とも軽く黄疸が出たりとありましたが数日で治療は終わり、それ以外は大きな問題が起きたりもありませんでした。
ちなみに、計画表の内容以外で「新たに治療が必要な時」はその都度丁寧な説明があったので、過度に心配することもなかったです。
このように、双子たちに治療が必要な場合は初めにきちんと説明があると思います。
もしも途中でわからないことや心配なことがあっても、NICUの面会時などに伝えれば先生から再度説明してもらえるので大丈夫です。
生後0日~7日までの様子
ここからは「双子の成長の経過」や「NICUでどう過ごしたのか」などをご紹介していきます。
まずは産まれた直後の娘たちの様子です。
姉のほうが小さく『極低出生体重児(生まれたときの体重が1,500g未満の新生児)』でした。

妹のほうは『低出生体重児(生まれた時の体重が2,500g未満の新生児)』です。

娘たちそれぞれの出生時の身長・体重はこちらです。

単胎児の上の子は37週で50㎝・2878gで産まれたので、3週間ほど早く産まれたとはいえ体重はそれぞれ上の子の3分の2、3分の1ほどです。
とはいえ「へその緒の癒着問題」を考えると、上の子と同じ37週までお腹にいたとしても娘たちがどこまで成長できたかはわかりません。
ちなみに、履いているオムツは一般的な新生児用サイズよりも小さく作られているオムツです。
それでもかなりブカブカで、あらためて「すごく小さいな」というのを実感しました。
しかし、今は小さく産まれた赤ちゃん用のもっと小さいサイズのオムツが作られているようなので、ここまでブカブカには見えないかもしれません。


保育器の中は一定の酸素濃度と温度が保たれていて、しっかり管理してくださるので安心です。
この頃は、まだ保育器から出してあげることは出来ないため、横にある小窓から赤ちゃんを撫でたりするくらいしか出来ません。
ミルクも口からは飲めず、胃にチューブで直接入れるという状態でした。
さらに、赤ちゃんの異常を知らせるための装置などがつけられていて、何か音がするたびにドキドキしたのを覚えています。(実際はたいした問題じゃないことばかりでした)
そのような中での面会時間は30分ほどでしたが、何もすることがなくただ眺めたり双子の写真を保育器の外から撮ったりして過ごすくらいでした。
正直、私もNICUの雰囲気に慣れておらず、娘たちのお世話も出来ない状況で「ただここにいるだけなんて邪魔にならないかな」なんて心配をしていました。
しかし、初めはどうしていいかわからなくても、看護師さんたちが声をかけてくださったりして徐々に慣れていくと思いますので安心してください。
約一週間経った頃
生後一週間ほど経った頃の娘たちの成長記録がこちらです。

これは看護師さんが記録してくれていたものですが、毎日ではないため二人の日齢が若干ずれています。(この後の表もずれているものがあります)
ちなみに、二人とも体重が出生時より少し減っていますが、これはどの赤ちゃんにもあることで異常ではありません。
「生理的体重減少」といって、赤ちゃんは生まれてから数日の間に体重が減るのですが、表はその時期の体重なのです。
そして二人の経過はというと、姉のほうは6日目には点滴が取れ、妹のほうは7日目にして早くも保育器から出ることになりました。
その時、保育器から出て初めて抱っこしたのですが、とても軽く感じたのを覚えています。
さらに後日、体調が安定していた日に初めて沐浴もさせてもらえました。
このように、少しずつですが赤ちゃんのお世話を出来るようになっていきます。
そうやって、赤ちゃんに触れられることが多くなると初めの頃よりも不安が減っていき、眺めているだけだった面会も楽しみが増えていきました。
生後8日~14日までの様子
続いて、生後8日~14日までの成長記録です。

「生理的体重減少」で一度減った体重は、姉のほうは出生体重を超えるまで戻りましたが、妹のほうはまだ少し出生体重には足りていません。
そんな中、生後12日目に娘たちより先に私が退院し、退院後はほぼ毎日(体調不良以外)搾乳した母乳を届けに行っていました。
もちろん、二人を残して帰るのは心配でしたが「娘たちも小さい体で頑張っているから」と思うと、少し前向きになれた気がします。
基本的には、面会に行っても「姉はまだ保育器」「妹は寝ている」などで写真を撮ったり見ている時間のほうが多かったです。
けれど、毎回看護師さんが
「ミルクを〇㏄飲みましたよ!」
「今日はよく寝てます」
などと双子の様子を教えてくれたので「大きな問題はないんだな」と安心したことを覚えています。
そして姉のほうも、タイミングが合えば保育器の窓からオムツ替えなどのお世話をさせてもらえたりと少しずつ出来ることが増えていきました。
そのように、些細なことであっても日に日に成長していく姿を見ると、徐々にお母さんの不安も減っていくと思います。
生後15日~21日までの様子
さらに生後15日~21日までの成長記録がこちらです。

二人とも6日ほどでグンと体重が増えました。妹のほうは2000g超えです。
一方で姉のほうはまだまだ小さく、妹の出生体重にも満たないほどです。
それでもある日「少し安定しているから」と、ほんの少しの時間だけですが初めて抱っこすることが出来ました。
娘はバスタオルに包まれていたのですが、思わずパパに「丸めたバスタオルだけ抱っこしてるみたい」と言ってしまうほど軽かったです。
そして、妹のほうはだいぶ安定していて、時々NICUの一角にある授乳室でおっぱいの練習をさせてもらえるようになりました。
ただ、なぜか私が行った時は寝ていることが多く、何をしても起きないくらい爆睡していてほとんど練習にならなかったです。
正直「体が小さい分起きてる体力がないのかな」などと少し心配にはなりましたが、たまたま私が行くタイミングが寝ていることが多かっただけでした。
なぜなら、退院後の自宅で起きている間は元気いっぱいだったからです。
実際、看護師さんからも「起きている時は元気に泣いてますよ」と聞いてはいたのですが、あまりに寝ていることが多かったので「なかなか起きている姿が見れないな」と思うほど寝ていました。
そのため、看護師さんから聞く様子が大丈夫ならばそれほど気にする必要はないかなと思います。

許可を得て、姉の保育器の前で初めて二人一緒の写真を撮りました。
生後22日~28日までの様子
次は生後22日~28日までの成長記録になります。

2人とも数日で100gほど増え、順調に大きくなっています。
そして、姉のほうも1500gを超え、体調が安定した生後27日目にはついに保育器を出ました!
とはいえ『体温が下がらないように』と、いつも何重ものタオルで保温されていて「そんなに温めないといけないくらいなのに大丈夫なんだろうか?」とは思っていました。
もちろんきちんと管理されていたので心配なかったのですが、妹に比べるとまだまだ小さかったこともあり私も不安だったのだろうと思います。
しかし、保育器を出たことで大きく前進した気持ちもあり、これまでよりも安心出来ました。
ちなみに、娘たちがいたNICUでは保育器を出ると肌着だけでなく女の子らしい可愛い服を着せてもらえていたので、さらに面会が楽しみになりました。
生後29日~35日までの様子
続いて、生後29日~35日までの成長記録です。

生後一か月が経った頃は2人とも体調は安定していて、姉のほうも段々と肌にハリが出始め全体的にふっくらしてきました。
そして、妹はそろそろ退院出来るかもと言われ退院は一人ずつになるのがほぼ確定しました。
実際、二人の体重差や保育器を出た時期から「同じ日に退院は無理だろう」とは思っていましたが、やはり別々となると残される姉のほうが気がかりです。
しかし、姉のほうも順調に大きくなっていたので、産まれた直後のような心配はほとんど無くなっていました。
一方で、妹のほうはだいぶしっかりしているとはいえ、上の子の時よりは小さかったので「体重が少なくても退院出来るんだな」と思ったことを覚えています。
この時期は二人とも保育器から出ていたので、面会に行くとオムツ替えや搾乳したものを飲ませたりと以前よりも何かとお世話をしていることが多かったです。
そして、基本的には二人とも「大きくなるのを待つだけ」という状態だったので、特に心配ごとはありませんでした。
生後36日~42日までの様子(妹退院)
そして生後36日~42日までの成長記録です。

(姉のほうが43日目になっていますが、この頃の一番近い日付の記録がこれしかなかったためです)
ようやく、43日目に小さかった姉のほうも2000gを超えました。
もちろん「まだ2000g」ではありますが、出生体重から考えると一か月ちょっとで倍近くになっているので随分大きくなっています。
そして妹は39日目に退院になりましたが、それはちょうど本来の予定日頃でした。
そう考えると、姉のほうは予定日頃までお腹にいたとしても小さめだったのかもしれません。
むしろ「へその緒の癒着の状態次第では危険だったかもしれない」と思うと、小さくても早めに出てきた娘は正解だったのかも?とも思います。
そして、妹の退院後は家で上の子と2人分のお世話が始まり、NICUにも行かなくてはいけないというハードな日々が始まりました。
もちろん退院は嬉しいことでしたが「別々に退院すると家と病院の往復が大変」ということはすっかり抜けていて考えていなかったです。
とはいえ、私は面会に行く時は家で母に子供達を見てもらっていたので、安心して面会に行けました。

生後43日~50日までの様子(姉退院)
最後に、生後43日~50日までの成長記録です。
入院中の成長記録はここまでになります。

妹の退院後、姉のほうも順調に大きくなっていきました。
しかし、一人になってからはよく泣いていたようで、面会に行くといつもいるはずの場所にいなくて「看護師さんにスリングで抱っこされている」ということも多かったです。
そのため「一人になっちゃったから寂しくて甘えてるのかな」なんて言われていました。
しかし、NICUには他にも赤ちゃんがいて泣いていることなんて日常茶飯事です。
そんな中、看護師さんも忙しいはずなのに「泣き止まないから」と抱っこしてくれていたのはとてもありがたかったです。
そしてこの頃には、とても小さかった娘の顔も体も随分ふっくらして一般的な赤ちゃんらしく成長しました。
退院直前の数日間では「こんなに丸い顔だったかな?」と思ったほどです。

そしてついに50日目にようやく姉のほうも退院になりました!
ちなみに、目の血管は順調に伸びていましたが「退院後は家で目薬を継続して、定期的に検診を受けてください」と説明がありました。
しかし、経過は順調と言われていたのでそれほど心配することはなかったです。
入院~退院までの体重変化
入院から退院までの体重の増え方をそれぞれグラフにしてみました。
こうして見ると、やはり出生体重に差があった分、ずっと同じように差があるままです。

もし、あまり差のない双子だったら途中で追いついたりすることもあるかもしれませんね。
とはいえ、それぞれがきちんと大きくなっていっているのであれば、差があったとしても心配しなくても大丈夫だと思います。
ちなみに、退院後も定期健診がありますが「修正月齢」といって、本来の誕生日でなく予定日から数えた月齢で成長を見ていくことがほとんどです。
例えば、34週で産まれたとしたら、予定日は40週なので6週早く産まれたことになりますよね。
その場合「実際に産まれた日(34週)ではなく予定日(6週間後)を生後0日」と考えて、その後の発達を見ていくのです。
このことから、実際に産まれた日に合わせて発達を見て「うちはまだ出来ない」「他の子より小さい」ということがあっても、修正月齢で問題がなければ心配する必要はありません。
そして、3歳頃までを目安に問題がなければ、実際の誕生日と変わらず発達をみていくようになります。
退院後の身長・体重
姉の退院後すぐ(2日後)検診がありました。
これはその時の2人の身長・体重です。

実際「二人の体重差は約1㎏」と見た目こそ差があるものの、二人とも大きな問題はありませんでした。
ちなみに、姉の目の治療は退院後二か月ほどで終わりました。
その後も特に問題なく、今では家族の誰よりも視力が良いくらいです!
ママ(私)の当時の心境

私は妊娠中からずっと娘たちが小さいと言われていたので、きっとNICUに入院になるだろうと思っていました。
それでも、実際に娘たちがNICUに入院した時は不安な気持ちもありました。
実は、産後に部屋で夜な夜な搾乳しながら「もう少しお腹にいられたら直接あげられたかもしれないのに」と落ち込んだ日もあります。
けれど、小さく産まれた娘たちにとって「母乳はとても大事なものだから」と看護師さんから言われ「今私にやれることをやろう」と切り替えました。
そんな中、毎日面会するたびに看護師さんがささいなことでも娘たちの成長を教えてくださったのは、本当に支えになりありがたかったです。
おそらく、多くのお母さんが同じように感謝されていると思います。
もちろん「元気に産まれて入院などしない」のが一番ですが、私にとってNICUでの体験は貴重な経験でもありました。
なぜなら、とても小さかった娘たちが日々成長していく姿を見たことで「赤ちゃんの生命力はすごい」と感じたからです。
そして、その後の育児の中で娘たちが病気になったり心配なことがあっても「あんなに小さな体で乗り越えたこの子なら大丈夫」と娘たちのことを信じる強さのようなものを身につけた気がします。
おわりに

この記事では、34週で産まれた双子の娘たちがNICUに入院したときのことをご紹介しました。
我が家のNICUでの経過を簡単にまとめると
- 34週で産まれ二人とも保育器へ
- 体重が増え、呼吸や体温調節が安定し始めた頃に保育器から出る
- 産まれた時点で2,000g近くあった妹は、本来の予定日頃に退院
- 小さく産まれた姉も生後50日目に退院
- 目の血管に関しては順調に治療が進み、その後も異常なし
しかし、我が家のNICUでの経過や体験は一例であり、実際は色々なパターンがありますので参考程度に考えてください。
特に、病院の対応や方針などは様々だと思うので、よく確認することをおすすめします。
また、お母さんが先に退院することになった時は、赤ちゃんを病院に残して帰ることで不安になったり罪悪感を持ってしまうこともあるようです。
実際に、私も不安になりましたし、多くのお母さんが同じようになると思います。
しかし、NICUではきちんと先生や看護師さんたちが赤ちゃんを管理してくれているので大丈夫です。
もしも、NICUに入院することになっても、退院後は過酷な双子育児が待っているので「産後の体を休めるチャンス」と不安になり過ぎないくらいがちょうどいいかもしれません。
もちろん無理はせず、なにか不安なことがあれば誰かに相談してください。
「これから出産を控えている」「双子がNICUに入院することが決まった」など、いずれにしても無事にお子さんがお家に帰れることを祈っています!
